「未病をケアする為の薬膳から、免疫力を上げ、人本来の持つ心身の力を最大限に引き出す為の薬膳へ。」毎日の生活に琉球薬膳があることは、決して難しいものではなく、シンプルに心身の声を聴くことから始まります。
例えば、今日は疲れてる?熱いかな?寒いかな?肩が凝っているかな?お腹は痛くないかな?前向きな気持ちかな?何を我慢しているかな?などなど。日々、自分の心と身体の声に耳を傾けることで、今日はどんなお料理にすれば良いかが見えてきます。
沖縄の方言で「クスイムン」という「食は薬」という言葉があります。琉球王朝時代に中国から伝わった「薬食同源」という考え方からきており、「薬になるもの」「体によいもの」という意味です。
薬が手に入りにくい時代、沖縄の食事は自身や家族の健康維持だけでなく、「薬」の役割も担っていました。
現代ではあまり見かけなくなりましたが、食べる前にウチナーグチ(沖縄の方言)で「クスイナラチクミソーリ(薬になりますように)」、食べ終わったら「クスイナイビタン(薬になりました)」というように、感謝の気持ちでごあいさつしているお年寄りの姿を良く見かけることができました。食で体調を整えながら、日々感謝しながらご飯を頂くことが健康長寿の秘訣だったのではないでしょうか。

そしてもう一つ、「なんくるないさ」という言葉があります。「なんとかなるさ」という意味で、若い世代の人でも良く知っているウチナーグチです。正しい行いをしていれば、なんくるないさ=自然と(あるべきように)なるものだという考え方から来ています。

薬膳が日常にあることとは、自分や自然との対話だと思っています。
きちんと心身の声に耳を傾けて、感謝の気持ちで美味しいご飯をみんなで頂き、「今」を大切に、「命」を大切に生きていれば、そのうちになんとかなってどんなことも乗り越えていける。
先人達のように未来への心配事は上手に天に委ねながら、いつでも自然体のままで前を向いていられる、ということに繋がっているのではないかと思うのです。

琉球薬膳とは、心身共に豊かに生きていく秘訣であり、沖縄の先人達から受け継いだ「心根」と「琉球食文化」の新しいカタチです。これからも、皆様と共に美味しい琉球薬膳を拡く伝えていければと考えています。

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