中医学とは、数千年という長い歴史に裏付けられた、中医薬学の理論と臨床経験に基づく中国の伝統医学です。中医学を起点とする薬膳では、生薬(漢方薬)と食物は本質的に同じであると考えられており、特定の症状に対して効果があることから「食は薬」として重宝されてきました。
また、中医学のベースとなるのが、人と自然の関係を解釈する手段である「陰陽五行思想」です。このように、中国古来の自然哲学と食べ合わせの知恵を受け継いだものが「薬膳」といえます。

五行の「五」は五つの元素のことで、「行」は動く、めぐる、という意味を表します。万物は「木・火・土・金・水」の五種類の元素からなり、その元素は一定の法則で互いに影響を与えあいながら、変化し、また循環しているという思想です。
薬膳では、五つの元素「木・火・土・金・水」の思想に当てはめて、症状を診たり、食材を選んだりといったことに用いていきます。相手を強める影響を与える関係を「五行相性(ごぎょうそうしょう)」といい、反対に相手を弱める影響を与える関係を「五行相剋(ごぎょうそうこく)」といいます。
これは、良い悪いといった意味ではなく、人間に必要不可欠な五種類の元素をバランス良く巡らせていく事で、本来の自然治癒力をより一層引き出し、快適な心身へと整えていくということになります。

例えば、
「木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず」
木が燃えると火が生まれて、燃え終わると火は土に帰ります(焼畑農業がその例)。土の中の鉱脈から金属が採れ、金属が採れる場所からはきれいな水が湧き出し、水のあるところには木が育ちます。
この関係を「相生(そうせい)」といい、「生み出す」ことや「促進する」関係性となります。

「水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つ」
木が生えると土が痩せます。土を盛って川の水の氾濫を抑え、水で火を消します。火で金属を溶かし、金属の器具(斧など)で木を切り倒します。
この関係を「相克(そうこく)」といって「抑制する」ことや「拮抗」する関係性となります。
相生と相克は自然界の中で相互に働き、バランスをとる役割を果たしています。

木のグループには樹木がそうであるように、上に向かってのびのびと育ち束縛を嫌がるという性質を持っています。木のグループに属する「肝」はこういった性質を表現する臓器と考えます。
例えば、「肝」の持つ伸び伸びとした流れが阻害されると感情のサインとしてイライラしたり、逆にうつ状態になったりします。「肝」は血を貯金している臓器ともいわれ、女性は特に出産や生理で血を沢山使うことから、「血」を補うだけでなく「肝」を補うことも大切だとされています。
同じように、他の火、土、金、水にもそれぞれ特徴的な症状が見られます。このように、中医学は人体の内と外(肉体と精神と自然環境と時間)を密接に関連付けているのです。

また、季節にも配され、春は木、夏は火、秋は金、冬は水、土は季節ごとの十八日間を土用として区分します。土用によって前の季節が終わり、次の季節が誕生するとされます。

琉花の新しいシンボルマークも、まさにこれを表現したものです。人の身体の本当に心地良い状態に近づく秘訣とは、やはり「バランス良く巡らせる」こと。五行思想と中医学は、自然界の摂理と人間がいかに密接に関連しているかを教えてくれます。

「木」と同じ属性のグループには、「春・青・風・酸・肝・腎・目・筋・爪・怒・涕」が当てはまり、互いに影響しあいながらバランスを保っています。

五行を人間の体に当てはめると、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓として表されます。(臓器だけでなく体の機能全般を表します。)例えば、軸にあたる五臓の「肝」がバランスを崩せば、その先にある「胆→目→筋→爪→怒→涙にも影響を及ぼし、何らかの症状が現れます。」

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