栄養士として病院に務めていた頃、患者さんが退院した後、自宅に戻っても病院と同じように食事療法ができないか?という想いから料理教室と宅配サービスを始めることにしました。 しかし、いざ宅配サービスをしてみると、診察データだけを元に栄養を管理していることや「病気の為の治療食」にどこか疑問を感じ始めるようになっていきました。 そんな時、薬膳講座の案内を受け、月に2回程東京へ通いながら勉強を始めることに。薬膳について学びを深める中で、これまでに出会った沖縄のお年寄りや患者さんとの会話の中で、良く耳にしていた「食」についてのアドバイスや考え方と「共通するもの」を中医学の「薬膳」の中に発見することが多くありました。 もしかして、沖縄にも中医学のような独自の薬膳があるのかもしれないと思い立ち、調べ始めてみると「琉球の食医学書」という本に出会いました。食医学書の中には、「御膳本草」のことが書かれていて、そこにはやはり中医学と同じことが記されていたのです。 当時の私にとって、病気と数字から導き出す西洋医学の「病気為の治療食」から、個人の健康や幸せ、嗜好なども考慮した東洋医学の「個人の健康管理」という考え方へのシフトはとても大きく新鮮で魅力的なものでした。 それからは、もっと深く薬膳を学びたい、琉球独自の「食医学」を復活させたいと志すようになりました。

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